A Case of Synchronic Behavior in Phalangidæ.

 【 1917年 Science誌に掲載 】

H. H. Newman, A Case of Synchronic Behavior in Phalangidæ. Science 45 44-44 (1917).
DOI:10.1126/science.45.1150.44.a
Letter:Science Website (⇦こちらのリンクから本文を閲覧可能)

生物の集団において、個体間の接触を介して(メカニカルな)振動を同期することが、最近の話題になっている:PhysRevX.11.031051 PDF (journals.aps.org)

この話題は、アクティブマターやロボティックスにも関連する興味深いものである。
この現象の、おそらく最初の発見は、以下の約100年前の観察記録にあるのではないだろうか。
この観察記録には、ザトウグモの集団が個体間の接触を介して同期振動することが、情景を含め、ありありと記載されている。

ファランギダの同期運動について

 本誌に最近掲載されたウォレス・クレイグによる「動物のリズム行動における同期性 (Synchronism in the Rhythmic Activities of Animals)」という論文を読み、1909年にテキサス州オースティン近郊で行った観察を思い出した。その観察の際に作成した、いくつかのフィールド・ノートをもとに以下を記載する。

さまざまな種類の岩トカゲ (rock lizard) の狩猟の際、断崖絶壁の中腹にある岩棚の下で日中休んでいたところ、私はリオブナム (Liobunum) 属に属すると思われる「ザトウグモ (harvestmen)」の巨大な群体を見つけた。直径5フィート近い、やや円形の場所に、ザトウグモはほとんど信じられないほどの数で密集していた。群体の数は1,000から2,000と推定された。

最初に見たとき、彼らは皆、天井からぶら下がって全く動かなかったが、私が6フィート(約1.5メートル)以内に近づくと、不思議なリズムのダンスを始めた。足場はそのままで、1秒間に約3回のペースで体を上下に振動させた、そして不思議なことに、全員の動きは完璧なユニゾン (同期) を示した。このパフォーマンスは1分以上続いたが、やがて疲れ果てたかのように徐々に停止した。その後、近くにいた数匹を棒でつつくと、それらは、すぐにリズミカルな上下運動を再開し、これが素早く全体に広がったものの、30秒以内で静止した。

もう一度、数個体を刺激すると、それらはリズミカルな反応を数回示し、これが群体全体に再び伝播したが、このときは、わずかな程度の振動だった、この後から、多くの個体が這い回り始めたので、上記のリズミカルな (集団) 運動を引き起こすことはできなくなった。

群体を初めて見たとき、隣り合う個体の長い脚が密接に連動していることに気づいたが、このメカニズムが、群体のある部分から別の部分への刺激の伝達の十分な説明を与えていると思われた。特に注意すべきは、最初は完全に同期していなかったリズムが、数秒後に完全に同期するようになったことだ。

おそらく、ホタルの同期明滅も、何か類似の刺激の伝播の結果として説明されるかもしれない。1匹のホタルの明滅が他のホタルの明滅を刺激する際、最初はそのリズムがいくらかズレているかもしれないが、やがて1本の茂みや1本の木のような狭い場所での同期に至るのである。さらに、この同期は、周辺全体に伝わるのかもしれない。ファランギダについてここに述べたタイプの行動は、他の博物学者によっても観察されているのか知ることは興味深い。

(訳:H.T.)